チラシの裏のメモ書き

嘘と本当もあるちゃんと言えないブログ

繰り返しの執着心の裏

月収13万円、37歳女性を苦しめる「官製貧困」 公営図書館の嘱託職員は5年で"雇い止め"に | 貧困に喘ぐ女性の現実 - 東洋経済オンライン http://toyokeizai.net/articles/-/134801

月収13万で貧困なら、私はもっと貧困だなと三和はこの記事を見て思った。収入は保険などを引かれて、一桁だ。実家から無償のお米などが来ているから、生活が出来ている。
だから、仕事をしっかりしない人は許せないのかもしれない。仕事は楽しい。家事は楽しい。たまに、面倒くさい。
 仕事中に、結崎を見ていて、怒りがわき、嫌な気持ちになる。給与で生活の心配のない結崎に、怒りをぶつけそうになる。
 結崎さんには、思った言葉をグッと我慢するようになった。8月に衝突してた。もう何も言えなくなった。
 いや、仕事を選んだのは三和だから、それはとても勝手な怒りに違いない。

 結崎は、ヘルプに入ると自ら得意な技巧のある作り物をしている。しかし、現場で、自らが命じた仕事は手伝わない。
 現場に来ても、自分のやりたいことしかしてない結崎に、三和は怒りを覚える。まるで、自分の仕事だと、現場の仕事をとらえていないとすら感じる。三和に結崎は「現場で下積みをがんばりなさい」と言う。しかし、当の彼女は同じ現場にいても、下積みの仕事や、命じた仕事すら、手伝わない。
 三和の中には言えないけど、言いたい。そんなエネルギーがある。 
 三和は思う。「ここは、黙って、目を閉じ、耳をふさいで、命じられた仕事だけをしていたらいい。今の自分が、そんな風に怒る資格がないことを知っている。」
 三和は怒りをグッとこらえる。何も言わないようにした。彼女には、関わらないようにした。それまでは、何かあると結崎に、相談していた。
 だが結崎が上司とケンカをしたということを理由として、職場を休んだ。その時は、なんとか受け入れようとした。だが、三和には受け入れる事ができなかった。憎しみだけが連なっていた。結崎の休暇中に、結崎に連絡を取らねばならなくなり、謝罪の文面と共にメールをした。
 しかし、帰ってきたのは、お門違いの怒りだった。「あなたには、仕事をしなさいと言ったはずよ。わたしのメールは、読んだのかしら?理解できた?全く、上司を疑うわ。あなたがやることじゃないの。それは、あの人がやることなのよ。わたしの連絡先を知っていて、連絡も寄越さないなんて……(ブツブツ)」
 三和は怒りに任せて、「私はあなたが休んでいるから、連絡を致しました。あなたが来ないから、私にお鉢がまわってきました。」と返事をした。結崎からは「悪いとは思っているわ」という返事が来たが、無視をした。
 それから、職場に結崎さんが復帰して、三和は休暇中の不義理を謝った。けれども、その謝罪以来は話しかけたことはない。
 結崎は頼りにならない、ただの子どもだと思った。頭がよく、人の機微にも敏感だ。だが、感情的で人のあら探しが得意で、自分の好きなことしか、やろうとしない。そう三和には見えるようになった。
 謝罪をした際にも「桜井さんも、最近だ遅刻がちで、仕事に来たくない様子がうかがえるわね。けれども、逃げたのは私だし……。」と結崎には言われた。

自分が、もっと仕事が出来て、同じ立場なら言ってもいいのだろうか。
 遅刻がちなのは、知っている。仕事にいきたくないからではない。いつも、時間にギリギリなのは自分の悪癖だ。けれども、そんなことを結崎さんに言われる義理はない。
 きっと、結崎さんには「仕事で困っているから戻ってきて欲しい。わからないことがあり、教えて欲しい」というメールすら「遅刻がちな桜井さんしか、私には連絡をくれない。しかも、一番声をかけて欲しい上司は私を無視する。そんな、下っぱな子に言われるのが嫌だ」とプライドが許さず、悲しく思ったのだろう。
  彼女との確執から2ヶ月近くたつが、まだ、こうして思い出すと怒りがわいてくる。
 ずっと、怒りをこらえていた。そして、何度も「作り物はやめて欲しい。手伝って欲しい」と言おうとして、言葉をのみ込んだ。また、何を言われるか、わからない。傷ついた。もう、十分だ。そして、結崎に言いたいのは感情的な怒りであり、それは自分の自己満足ではないのかという気持ちがある。自分のためにも、ならないと思う。怒りに任せて言いそうな言葉を飲み込む。三和は、己の問題から逃げているから、結崎が気になるのだと思う。
 三和の問題は、遅刻癖だ。そして、言った事を実行したり、普段の業務でも、一部に出来ていないことがあるということだ。おそらく、転職しても、変わらない問題だから、今のうちに直しておきたい。
 生活面では、中川と連絡がとれなくなっていて、どうしてよいのか全くわからない。
 静美(シズミ)さんとは、仕事の都合で一月に一度か二度しか会えない。悲しいとも思うが、静海さんには休んで欲しい、そんな気持ちがある。たまに、電話がかかってくるのがありがたい。寂しさは蓄積されているが、仕方がない。そこは、見ないようにしている。
 そして、家計簿をつけていなかったり、貯金が出来なかったりという問題がある。
 そもそも、中川との生活をどうしていくのか、静美さんとの交際を続けるために転職するのかどうか、三和自身がどうしたいのかが決まっていない。
 仕事でも、自分は必要なのかがわからない。不安を感じている。 
 結崎さんへの怒りを感じていれば、こういった日々の自分の問題を考える必要がない。
 今日は、花屋が休みだった。1日、何かに脅かされるように、家事をしていた。心が落ち着かずにいた。泣きたいのに、泣けない。そんな1日だった。

中川が、居なくなって、そろそろ三ヶ月がたとうとしている。まだ、連絡をするが繋がらない。受け入れがたいが、受け入れるしかない。
そろそろ、何かをしなければと思うが何も手につかない。家事は、習慣のようにしている。薬も、飲みすぎることもなく、飲んでいる。
ただ、泣きたいのに泣けなかった。

翌日は、仕事だった。ふと、朝につけたラジオから、今週の占いが流れてきた。聞いていると、三和の星座は「疲れていると周りに攻撃的になる」と、アナウンサーが話していた。
 ギョッとした。結崎への怒りは、「疲れているからではないのか。」という気持ちが芽生えた。そんなこともあり、彼女は、「ともかく、一時落ち着こう。」と思った。
 仕事の休み時間が結崎とかぶっていた。普段は、三和は休み時間には本を読んでいる。結崎は、携帯を見ていたり、パソコンで仕事の一部を見ている。
 沈黙が重苦しくなってきていた。結崎と一緒になった時には、話しかけるのが、二ヶ月前の桜井三和だった。 
 いつも、休み時間を通り越して、結崎には、仕事でやりたいことを話していた。相談も、していた。結崎さんも聞いてくれていた。だが、九月のはじめから、それが出来なくなってしまっていた。
 謝罪をしたとは、いえ、重苦しい。沈黙がとても、苦しくて、たまらない。休み時間が重なるごとに、トイレに逃げ込んでいた。
 いつも、トイレに逃げるわけにも行かない。ふっと、今日は何か、思い付いた。結崎がなぜ、作り物をしているのか、上司とのケンカはどうなったのだろうか。結崎に、聞いてみようと思った。
「結崎さん、ちょっと構いませんか。どうして、作り物をなさっているのですか。それと氷山(コウリヤマ)さんとは、そのあと、どうなったのですか。」
「課長や、課長補佐の氷山さんとはケンカ中よ。作り物は、会社に対しての、私なりの抗議なのよ」
「抗議ですか。だったら、お手すきでしたら、花を包む内職を手伝って欲しいのですが、構いませんか。」
すると、「どこにあるの…。また、勤務中に言ってくれたら、手伝うわ」という声があった。以外に素直な物言いに、三和は驚いた。仕事の時、客足が途絶えた後に結崎さんは三和のする内職を手伝ってくれた。作業が進み、三箱あった、花の飾り付けが終わった。
 三和は内心「私は甘いな。なんで、こう素直に言われてしまうと、許してしまうかな」と、思いながら、手を動かしていた。だが手伝ってくれているのは事実なので、「後でお礼を言わなきゃ」と、思いながら、作業を続けた。
 仕事の終わりにまだ残っているが、「ありがとうございました。助かりました」と、三和は結崎さんに声をかけた。
 仕事の時に意外と素直な結崎さんに「キュン」と、胸がトキめいた。三和自身も驚いた。「いけない、いけない。なんで、キュンなんだ。今のはなんだ」と自分を戒めた。実はこれは、二回目だ。三和が謝罪した時にも「キュン」と、胸がトキめくのを感じた。怒りが、ほどけた瞬間というのかもしれない。紫舟さんに、「キュン」としたことはない。だからこそ、余計にびっくりしている。
 紫舟さんと居ると、すごく安心する。この人が好きで、この人が幸せだったらいい。そんな穏やかな気持ちになる。たまに、からかってくるのは嫌だ。けれども、胸が、トキめいたことはない。穏やかな愛情に包まれていると、思う。
 笑いがこみ上げてくる。感情を燃やせば、燃やすほど、辛いのは確かだ。そんなものがない。まるで、感情を感じない。だから、恋とは感情だと思っていた。愛は、違う。穏やかさに包まれている。紫舟さんは、愛をくれるだろうと思った。先の見通しはない。けれども、それを知っていると思った。
 仕事のことでは、普通に話せる。けれども、それ以外のやりとりは無理だ。      言いたいことはまだある。許したこともあるし、許せないこともある。黙って仕事をする。とても、苦しかった。その苦しみは、少し晴れた。けれども、しこりは残った。ドキッとしたのも、三和だが、憎しみのせいだと思う。