チラシの裏のメモ書き

嘘と本当もあるちゃんと言えないブログ

花火と子猫

 中川は、ふと隣を見る。三和がしきりに手をかいて、赤く腫れ上がっている。彼女は、夕方になると肌が痒くなるらしいと言う。病院には行っていないと聞き、薬局を探す。彼女は大丈夫だと言うのだが、心配なので、薬局に向かう。
 痒み止めの塗り薬を薬局で買うついでに、一緒に花火セットをレジに出すということをされ、チラッと横を見る。
ここで断れば、お店に申し訳がない。三和はいたずらが見つかったような顔をしている。
 仕方ない。諦めて、塗り薬と一緒に買う。
 花火はほどなく、活用された。海沿いにドライブした際に、三和が鞄から引っ張り出してきたのだった。
 潮の満ち引きが穏やかに聞こえる海岸沿い、いくつかの舟が停泊している。
 遠くの方であかりが見えるが、灯台だろうか。
 そっと辺りを見回すと、ガサガサザザザという音と共に火をつけるライターと、花火のろうそくが出される。
 タバコを吸う紫舟に借りてきたというライターでしきりと、ろうそくに火をつけようとする。
 火傷しそうだな。心配だな。中川は、おぼつかない三和に「変わるよ」と伝える。
 三和は、恥ずかしそうにライターを中川に手渡す。
 音もなく暗闇にろうそくの火が灯る。ガサガサとごみ袋が音をたてる。花火に火をつけようとするがなかなか、つかない。火がついた。
 シュワワハワー。音を立てて、明るい光がキラキラと、燃えて消えていく。微かに焦げ臭い臭いがする。 
 夜の暗闇から、すさっと影が横切る。子猫だった。ろうそくの灯りに、突進する。
 驚き、オロオロして、花火の火を中川の靴につけてしまい、申し訳がない顔を三和はする。
 「こら、ダメだって。大丈夫。あたっていないから。目が見えないんだよ、こいつ」
シュドドと、中川の手から這い出そうとする生き物は、ろうそくの火に一目散に突進しようとする。
 猫は一匹だけではなかった。驚きつつも、手慣れた様子の中川に、びっくりする三和。しゃがんで、赤々と燃える一寸の光を見る。
 キラキラと、輝き光が失われていく。なにかがモゾモゾとお尻を押す。ふりかえると、そこに小さな猫がいる。
 そっと手を差し出すと、ササッと、顔を出してくる。ずいぶんと人馴れしている。後で中川に「ちゃんと、手を洗った方がいいよ。」と注意をされるも、聞き流す。
 顔はちゃんと、向いていたからいいだろう。